大切なパートナーの意識が突然なくなったら、どんな行動をとりますか?
心臓が止まってしまったときには1秒を争う緊急事態です。
パニックになってただ慌てているだけでは、助かるものも助からなくなってしまいます。
人間では心肺停止から1分以内の救命処置で救命率は95%といわれているほど、行動が早ければ早いほど期待されます。
ワンちゃん猫ちゃんの救急車が存在しない日本で、動物病院に行くまでの間、一番近くにいる飼い主様が対応できれば救命率はきっと上がるはず。
自然災害の多い日本では、いつどこで緊急な状況になるか分かりません。
災害時でなくても、普段の生活の中で事故や熱中症、おもちゃの誤嚥などどんなときにも危険はつきもの。
大切なパートナーの為に、心肺蘇生を知ってみませんか?
- 救急外来の対応可能な動物病院を事前に調べる
- 犬ネコ脈拍数と確認方法
- 犬ネコの呼吸数と確認方法
- 心肺蘇生の前に確認
- 心臓マッサージ
- 人工呼吸
- 健康状態は常に確認
救急外来の対応可能な動物病院を事前に調べる
かかりつけの病院だけではなく、救急対応もしていただける病院を事前に探しておきましょう。
搬送までにどのくらい時間を要するか、どんなルートでどのような方法で搬送できるかシミュレーションが大切です。
近くに救急対応できる病院が見つからない場合には、行ける範囲の病院をピックアップし定休日や診療時間をそれぞれ確認しておくことが大切です。
かかりつけの病院以外にも健康相談などで他の病院を訪れてみましょう。
事前に診察してもらうことで病院までのルートや先生の雰囲気が分かり、いざというときには診察履歴を確認してもらえます。
犬ネコ脈拍数と確認方法
一般的に犬の安静時の脈拍は小型犬で1分間に60~80回、大型犬で1分間に40~50回といわれていますので、おおよそ1秒に1回程度と覚えておくことで緊急時の判断に役立てましょう。
ネコは1分間に120~160回と個体差が大きいため、普段から脈拍を確認しておくことが重要です。
小型犬 | 60~80回/1分間 |
大型犬 | 40~50回/1分間 |
ネコ | 120~160回/1分間 |
脈拍の計り方は後ろ足の付け根の内側にある大腿動脈に指を当てます。
人差し指、中指、薬指の3本を当てて測りましょう。
触れるというよりも、軽くつかむくらいの力加減だと脈を感じやすくなります。
健康な状態であれば1分間計ってみるのも正確な数字が取れますが、
病院での診察、また緊急時などは15秒間の脈拍を数えて4倍することで1分間の心拍数を計算します。
回数だけでなく、リズムが一定かどうかも確認しておきましょう。
犬ネコの呼吸数と確認方法
一般的に犬の安静時の呼吸数は1分間に10~35回、猫は20~40回といわれています。
安静時を判断するのが難しい場合は、眠っているときの呼吸数を確認しましょう。
犬 | 10~35回/1分間 |
ネコ | 20~40回/1分間 |
呼吸数はじっとしている子や眠っている子は胸のふくらみ具合で測ることができます。
難しい場合は胸部を両手で包むように触れることで、胸の広がり具合を感じることができます。
脈拍と同様に、15秒間を数えて4倍することで1分間の呼吸数を計算します。
心肺蘇生の前に確認
愛犬の様子がいつもと違う!とおもったら、以下の項目をチェックしましょう。
☑意識の有無
☑呼吸の有無
☑心拍の有無
確認できない場合は直ちに心肺蘇生が必要です。
1、安全確保
周囲の安全を確保しましょう。
ヒトが怪我をしてしまうと大切な愛犬を守ることができません。
また不安定な場所では正しく処置をすることができません。
慌てず安全が確保できるところまで移動しましょう。
2、意識と呼吸の確認
大きな声で名前を呼びながら、口元に手を置いて意識と呼吸を確認します。
呼吸は胸の上下でも確認できるのでよく観察しましょう。
息をしていないときには舌を引っ張り出し、口の横から出すようにして気道を確保します。
また同時に、喉に詰まっているものが無いか確認します。
犬の舌は素手でつかむと滑ってしまうため、近くに布があれば布でつかむとスムーズに引き出すことができます。
のどに物を詰まらせてしまっているときは、手でとれる範囲であれば掴んで出します。
とれない場合は犬の頭が下になるように体を支え、肩甲骨の間あたりを目安に下向きに背中を軽くたたきます。
動物の口元での作業となるため、噛まれたりする事のないよう十分注意して行ってください。
3、脈拍の確認
犬ネコ脈拍数と確認方法を参考に、脈を確認します。
1分間測る時間は無いため、15秒間の心拍数×4倍で脈を確認します。
意識、呼吸、脈拍は15秒以内に判断し、いずれも確認ができない場合は直ちに心臓マッサージを行います。
心臓マッサージ
ぬいぐるみで練習したり、イメージトレーニングまでにとどめて絶対に行わないでください。※
意識、呼吸や脈が確認できない時には直ちに心臓マッサージを行います。
動物の右側が下になるように横に寝かせ、背中側に人が膝をつきます。
心臓の位置は犬の前足が曲がった時、肘が当たるあたりを目指します。
犬の身体の1/3の深さになるようにリズムよく押しましょう。
1分間に100回程度(1秒間に2回程)のペースでテンポよく行います。
身体の小さな子は片手でつかむようにしたり指で行います。
胸の広い犬種(パグやフレンチブルドッグなど)は仰向けにして胸の一番高い位置を目指して押します。
「押す場所があっているか不安」
「骨折が心配で深く押せない、折れた骨が刺さってしまったらどうしよう。」
と心配になるかもしれませんが、精密さよりもスピード感が大切!
勇気をもって素早く判断を下しましょう。
また、骨折を心配するよりも心臓マッサージが届かない方が命にかかわります。
人工呼吸
ぬいぐるみで練習したり、イメージトレーニングまでにとどめて絶対に行わないでください。※
犬の舌を掴んで口の横から出し、口を閉じます。
犬の鼻から1~3秒ほどかけてゆっくりと息を吹き込みます。
胸のふくらみ具合で空気が入っているか確認できるので、観察しながら行います。
胸が膨らまない、空気が入っていないときは口から漏れている可能性があるため、しっかりと手で覆ってとじさせて行います。
心臓マッサージ30回、人工呼吸2回のサイクルで、嫌がるそぶりが見られるか獣医師に引き継ぐまで継続して行うのが理想です。
健康状態は常に確認
心臓マッサージや人工呼吸の練習はできなくとも、日ごろからパートナーをよく観察しておくことで呼吸の深さや回数、脈拍などの健康状態を知ることができ、異常を見つける際の手助けになります。
事故やケガなど、緊急的に命に係わる状況にならないのが一番ではありますが、いざという状況になってから調べるのでは手遅れになってしまうことも。
犬の蘇生率は5%前後とも言われるほど決して高くはありませんが、それでも知識が無く、何も処置が出来なければ0%になってしまいます。
1%でも可能性を上げる為に、大切な我が子を守れるのは自分だけ!という強い気持ちを持って救急救命の方法を覚えていてくださいね。
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スタッフ
中嶋香苗
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