こんにちは、獣医師の林です。
今日は防災についてのお話です。
自然災害が多い国ランキング1位の日本、地震、津波、台風、大雨洪水、豪雪など、天災のオンパレード…いつどこで災害に合うかわからないという環境にあります。
いざというときすぐに避難できるよう、日頃から避難について備えておくことはとても重要です。
ペットと一緒に避難することを同行避難と言いますが、避難所は必ずペットOKというわけではありませんので、最寄りの避難所でペットOKな場所があるのかどうかの確認を行っておきましょう。
ただ、避難所がペットOKだとしても、必ずしも人と同じスペースで過ごせる(=同伴避難)というわけではありませんので、この点もしっかり把握しておきましょう。
同行避難をする場合には、周りの方への配慮も必要です。
言わずもがなですが、避難所には、動物が苦手な方やアレルギーを持っている方も来られていますので、必ず自治体の指示に従ってルールを遵守するようにしてください。
そして、どんな状況下でも、必ず同行避難をしなくてはいけないというわけではありません。
自宅が倒壊の恐れがなく、定期的に自宅に戻れる状況であれば、避難所には飼い主のみ、ペットは家で待機させるということも選択肢の1つになります。
同行避難の際に推奨されている頭数は、人間の手の数の頭数といわれていますので、1人あたり2頭となります。
つまり、多頭飼育の場合には、同行避難が難しいというケースも否めません。
今すでに同行避難が難しい数のペットと暮らしている方は、いざというときに同行避難ができるのかどうか、同行避難する場合には、ペットをどの順番で避難所へ連れ出すのか、シミュレーションもしておいてください。
次に、備蓄品。
人の備蓄も大事ですが、ペットの備蓄も重要です。
特に、避難所では人に対する物品は準備されていますが、ペットに対しての物品は必ず準備されているわけではなく、飼い主の責任となります。
備蓄品は、最低7日間は用意しておくと良いとされていますので、水・フードはもちろん、これらを入れる食器、防臭効果のある袋、ペットシーツは必ず準備をしておきましょう。
避難所での感染症を防ぐために、ノミダニの駆除薬も入れておくと良いかもしれません。
日頃お薬を服用されている子や療法食を食べている子は、7日分よりも多く用意しておいたほうが安心だと思います。
健康手帳をお持ちの場合には、2冊作っておいて、1冊は備蓄品の中に入れておくと良いですね。
また、首輪やハーネス、リード、キャリーの準備もお忘れなく。首輪には名前や連絡先などが書かれたタグのようなものを付けておくと良いですね。
ワンちゃんの場合には、登録した際にもらう鑑札と狂犬病の済票を首輪やハーネスに縫い付けておきましょう。
※ワンちゃんは、狂犬病予防法において鑑札及び注射済票の装着が義務付けられています。
そして、日頃から呼び戻しのトレーニングをしておくこと、人や他のペットさんに慣らしておく、ケージに慣らすトレーニングなどを行っておくことも重要です。
これらは災害時だけでなく、普段のお散歩のときや、病院や旅行など普段とは違う場所に行く場合にも役立つトレーニングですので、まだトレーニングをされていない子の場合には、できるだけ早めに行ってあげてください。
また食事に関しても、日頃から少しずつ取り入れてほしいことがあります。
それは、市販フードのみの子であれば、時々手作りご飯をトッピングする、完全手作り食の子であれば、たまに市販フードを与えてあげるということです。
前述したように、避難所には人の備蓄は準備されています。つまり、人の食べ物であれば手に入るということ。
避難生活が長引いてしまってフードの備蓄が切れてしまった場合でも、一時的であれば、人のおにぎりやお粥、缶詰などで即席の手作りご飯を作ることができます。
日頃から人が食べるものに慣れておけば、即席の手作りご飯にも無理なく移行でき、食べてくれることで命をつなぐことができるかもしれません。
反対に、完全手作り食のみだと、備蓄ができないだけでなく、災害時に備蓄のフードを与えても、食べてくれないということも考えられます。
そのため、時々フードのみの日を作る、おやつ代わりにフードを与えておくなど、市販のものも食べられるようにしておきましょう。
避難時にもある程度手作りで与えたいという場合には、備蓄品の中に鯖缶などの缶詰や乾燥野菜、お粥などのレトルト製品を多めに入れておきましょう。
秋は台風発生も多く、冬になると寒波の影響が懸念されます。
日頃から防災、同行避難について考えておくことは、命を守ることにもつながります。
是非ご家族で、防災、同行避難について話し合いをしたり、備蓄品の確認やしつけ、トレーニングなども取り入れていただければと思います。
この記事を書いた人
この記事を書いた人
獣医師
林美彩 先生