こんにちは、獣医師の林です。
今日は生食についてのお話です。
生食はオーストラリアの獣医師が『骨付きの生肉を与えることは素晴らしい』と提唱し、生食ブームがスタートしました。
生食は、犬の先祖たちの食事に近いものであり、犬の消化の仕組みに適した食事と言われています。
ただし、生食と聞くと、『多くの方は生肉・生魚を与えること』と考えられるかと思いますが、正確には、『加熱していない生の食材を食べる』こと。
つまり、生肉・生魚だけではなく、生骨や生のお野菜、果物も一緒に与えることが『生食』になります。
そのため、生肉・生魚だけでなく、内臓や骨、野菜などのその他の食材を加えることが重要になります。
生食のメリットとして
・加熱食と比較し、消化に負担がかかりにくい。
・食材に含まれる酵素を摂取できる。
・熱に弱い栄養素をしっかり摂取できる。
・動物性たんぱく質をしっかりと摂取できる。
などが挙げられます。
また、食材に含まれる水分量も多いため、飲水量の確保にも役立つと考えられます。
その一方で、
・栄養素の過不足
・消化器のトラブル
・骨による弊害(鋭利な部分が消化器を傷つけたり、硬い骨を食べる際に歯が破損するなど)
・病原菌による感染症
等の恐れもあります。
手作り食もそうですが、栄養バランスについては、きちんと学んでから取り入れなければ、栄養の過不足による健康被害が懸念されますし、今まで市販食や加熱食を食べてきた場合には、その食事に対しての消化器の働きや腸内細菌叢が作られているため、突然生食に切り替えることで、これらのバランスが崩れ、下痢や嘔吐などの消化器症状が見られることがあります。
そして、生食を取り入れるにおいて、個人的には最も重要だと考えているのが、生肉・生魚の選び方。
何でもかんでも『生』であれば良いというわけではありません。
私たちの食事と同様、生肉にはサルモネラ菌や大腸菌などの病原菌に汚染されるリスクが高く、ペットも生肉から食中毒を起こす危険性があります。
そのため、ペットに与えるものも、大前提として『私たちが生で食べられるもの』であることを選ぶことをお忘れなく。
加えて、生肉を扱ったまな板や包丁などにも、サルモネラ菌などの病原菌が付着しますので、そこから感染が広がってしまうこともあります。
私たちが普段料理するときと同じように、生モノを取り扱った後には、消毒も忘れずに行ってください。
賛否両論ある生食ですが、個人的には、正しい方法で取り入れるということが大前提ではありますが、食事の選択肢の1つとして、もっと多くの方に広がってほしいと思っています。
取り入れるときには、必ず専門家やメーカーさんとタッグを組んで、焦らずゆっくり、適切な方法で取り入れてください。
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この記事を書いた人
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獣医師
林美彩 先生